結論:事故が一番多いのはメール。切り替える前に「今の設定を全部控える」ことで防げます
ドメイン移管やサーバー移転で、一番トラブルが起きやすいのは、ホームページではなくメールです。
フリーライでは、これまで100件以上、ドメイン移管、サーバー移転、メールの引っ越しを対応してきました。その中で見てきた事故の多くは、ドメインの設定(DNSレコード)を切り替えるときに、メール用の設定が抜けてしまうことが原因です。
防ぎ方は、次の3つが基本です。
- 切り替える前に、いまのDNSレコードを全部書き出しておく
- 新しいサーバーに、メールの受け皿(メールアカウント)を先に作っておく
- 古いサーバーは、切り替えてすぐに解約しない
まず、言葉を整理します
「移管」「移転」「引っ越し」は、似ているようで、やることが違います。どれをやるのかで、注意するところも変わります。
| 言葉 | やること | メールへの影響 |
|---|---|---|
| ドメイン移管 | ドメインを管理する会社を変える(例:A社からB社へ) | 移管の手続きだけなら、本来は影響なし。ただし、移管のときにネームサーバーが変わると止まることがある |
| ネームサーバーの変更 | ドメインの設定(DNS)をどこで管理するかを変える | 新しい側にメールの設定がないと、メールが届かなくなる |
| サーバー移転 | ホームページやメールを置いているサーバーを変える | メールも同じサーバーにある場合、メールの引っ越しが必要 |
| メールの引っ越し | メールアカウントや、過去のメールを新しいサーバーへ移す | 手順を間違えると、届かない・過去のメールが消える |
実際には、これらがまとめて起きることが多いです。「制作会社を変えるので、ドメインもサーバーも移したい」というご相談では、4つ全部が関わります。
なぜ、メールで事故が起きやすいのか
理由は、メールが止まっても、すぐには気づけないからです。
ホームページが表示されなくなれば、開けばすぐに分かります。でも、メールが届かなくなっても、受け取る側には何も起きません。届くはずのメールが、ただ来ないだけです。
お客様からのお問い合わせや、取引先からの連絡が止まっていたことに、数日たってから気づく。これが、メールの事故の一番こわいところです。
よくある事故1:ネームサーバーを変えたら、メールが届かなくなった
一番多いのが、これです。
メールがどこに届くかは、DNSの「MXレコード」という設定で決まっています。ネームサーバーを新しい会社に変えると、ドメインの設定は、新しい会社の側で読まれるようになります。
このとき、新しい側にMXレコードを入れ忘れると、メールの届け先が分からなくなり、メールが届かなくなります。ホームページの設定(Aレコード)だけ入れて、ホームページが表示されたので安心してしまう、というパターンです。
よくある事故2:ドメインを移管したら、設定が初期状態に戻った
ドメインの管理会社によっては、移管が終わったときに、ネームサーバーが移管先の会社の初期設定に変わることがあります。
こうなると、それまでの設定が読まれなくなり、ホームページもメールも、まとめて止まります。移管の前に、移管先の会社で、ネームサーバーがどう扱われるかを確認しておく必要があります。
よくある事故3:メールアカウントを作る前に、切り替えてしまった
新しいサーバーにメールアカウントを作る前に、メールの届け先を切り替えてしまうと、届いたメールは「そのアドレスはありません」というエラーで、送った人に戻されてしまいます。
送った側からすると、「アドレスが使われていない会社」に見えてしまいます。
よくある事故4:古いサーバーを先に解約して、過去のメールが消えた
メールソフトの設定によっては、過去のメールが、パソコンではなくサーバーの上にだけ残っていることがあります。特に、スマホとパソコンで同じメールを見ている場合です。
この状態で古いサーバーを解約すると、過去のメールがまとめて消えてしまいます。解約は、過去のメールを移し終えて、確認してからです。
よくある事故5:メールソフトの設定を変えていなかった
サーバーを移すと、メールソフトに入れている「受信サーバー」「送信サーバー」の名前が変わることがあります。
設定を変えないままだと、メールが受け取れない、送れない、という状態になります。社員が何人もいる会社では、全員のパソコンとスマホの設定を変える必要があります。
よくある事故6:送ったメールが、迷惑メールに入るようになった
新しいサーバーに移したあと、送ったメールが、相手の迷惑メールフォルダに入ってしまうことがあります。
原因は、「このドメインのメールは、このサーバーから送っています」と証明する設定(SPF・DKIM・DMARC)が、新しいサーバーに合わせて直されていないことです。Gmailは2024年から、送る側にこの設定を求めるようになっていて、設定がないと、届かなかったり迷惑メールに入ったりしやすくなっています。
事故を防ぐための手順
フリーライが移管や移転のときに必ずやっている手順です。
- いまのDNSレコードを全部書き出す:A、CNAME、MX、TXT(SPFやGoogleの確認用など)。ホームページ用だけでなく、メール用、ほかのサービス用の設定もすべて控えます
- メールの使い方を確認する:誰が、どのアドレスを、どの端末で使っているか。過去のメールがサーバーに残る設定かどうか
- 設定が切り替わるまでの時間を短くしておく:DNSの「TTL」という値を、切り替えの前日までに短くしておくと、切り替え後の反映が早くなります
- 新しいサーバーに、メールアカウントを先に作る:アドレスは全部、同じ名前で作ります
- 新しい側にDNSレコードを全部入れてから、ネームサーバーを切り替える:書き出した設定と、1行ずつ見比べます
- 切り替えは、メールの少ない時間帯に行う:お客様の業種に合わせて、連絡が少ない曜日と時間を選びます
- 切り替えたら、すぐに送受信のテストをする:社外のアドレス(Gmailなど)から送ってみて、届くか、返信できるか、迷惑メールに入らないかを確かめます
- 古いサーバーは、すぐに解約しない:切り替えの直後は、古い方にメールが届くこともあります。過去のメールを移し、しばらく様子を見てから解約します
- 社員の方に、設定変更の案内を配る:パソコンとスマホのメールソフトで、何をどう変えるかを、画面つきでお伝えします
ドメイン移管のときだけの注意
ドメインの管理会社を変える「移管」には、メールとは別の注意点もあります。
- 取ったばかり、移したばかりのドメインは移管できない:「.com」などのドメインは、取得や移管から60日間は、原則として移管できません
- 期限が切れる直前は避ける:手続きの途中で期限が切れると、ドメインが使えなくなるおそれがあります。余裕をもって進めます
- 承認のメールを受け取れるか確認する:移管の承認メールが、登録しているメールアドレスに届きます。そのアドレスが、移そうとしているドメインのメールだと、止まったときに受け取れません
- ドメインが、誰の名前で登録されているか確認する:前の制作会社の名前で登録されていると、移管にその会社の協力が必要になります。制作会社と連絡がつかなくなったときの話は、こちらの記事で書いています
自分でやるか、頼むか
ホームページだけ、メールはGmailなどを使っていて関係ない、という場合は、ご自身でもできることが多いです。
一方で、次のような場合は、慣れている人に頼む方が安全です。
- 会社のドメインのメールを、社員が何人も使っている
- お問い合わせや予約の連絡を、メールで受けている
- ドメイン、サーバー、メールを、まとめて移す
- いまの設定を、誰が、どこでしたのか分からない
よくある質問
ドメインを移管すると、メールは止まりますか?
移管の手続きだけなら、本来は止まりません。止まるのは、移管と一緒にネームサーバーが変わったときや、DNSの設定が抜けたときです。移管の前に、いまの設定を控えておけば防げます。
切り替えのあいだ、メールが止まる時間はありますか?
手順どおりに進めれば、ほとんど止まりません。切り替えの直後は、メールが古いサーバーに届くことがあるので、両方を確認できるようにしておきます。
過去のメールも、新しいサーバーに移せますか?
はい。サーバーの上に残っているメールは、新しいサーバーに移せます。パソコンにだけ保存しているメールは、そのパソコンに残ったままです。
他社で作ったホームページでも、移管や移転を頼めますか?
はい。いまの設定を確認するところから対応します。
最後に:切り替える前の準備で、事故の大半は防げます
メールの事故は、切り替えたあとに慌てても、すでにお客様からの連絡を取りこぼしていることがあります。大事なのは、切り替える前に、いまの設定を全部控えておくことです。
ドメインやサーバーを移したい、いまの設定がどうなっているか分からない、という方は、保守管理のページをご覧いただくか、お問い合わせからお気軽にご相談ください。
